「肩こりの物語」その9
腰椎椎間板ヘルニアについて3回お話してきました。
ポイントは、腰椎椎間板ヘルニアには「典型例」と「非典型例」の2種類あり、それぞれ対処法が異なる、ということでした。
実は、体の痛み全般にも同じことが言えるのです。
肩こりの物語に戻ります。
整形外科医として働く中で、「典型例」・「非典型例」を問わず、体を徹底的に調べ、体への対処を徹底的に行うことが第一であるのはもちろん、「非典型例」の場合はさらに「痛みを感じている脳」へのアプローチもするべきではないか、という思いを日に日に強めていきました。
そんな中、「サーノ博士のヒーリング・バックペイン」という本に出合いました。
腰痛・肩こりに悩まれている方に一読をおすすめする、素晴らしい本です。
この中にTMS理論というものが出てきます。要するに「交感神経の緊張により筋肉が虚血状態になり、痛みが生じる」というものです。
これはしごくまっとうな理論であり、大半の整形外科医は「これは当たり前」だと答えると思います。
この本のポイントは、この交感神経の緊張は「怒り」により生じるのだと、怒りにフォーカスを当てているところです。
痛みの原因をこれですべて説明できるわけではありませんが、大きな要素の一つであると考えます。
ただ、この本で典型例として挙げられるような怒りのケースは、日本では少ないのではないか、というのが痛みの治療を続けてきた中での率直な意見です(もちろん該当するケースもあります)。
「ストレスの身体化」
(心身症:脳へのストレスが体に症状として現れること、例えば交感神経の緊張による筋の痛みも含まれる)
「ストレスによる疼痛閾値の低下」
(脳へのストレスにより痛みの感じ方が敏感になり、痛みをより強く感じるようになること)
というパターンの方が多いと考えます。
次回はこの2つについてお話したいと思います。
~「肩こりの物語」その10に続く~
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