「肩こりの物語」その2
「問題ありませんね、特に悪いところはないです」
！？
いやいや、こんなに痛くて凝っているのだから、何か問題あるでしょう！と思いました。
「ではなぜ痛いのでしょうか」と聞いてみました。
※疑問点をしっかり聞くことは大切です。
「そうですね、ちょっと”なで肩”かもしれません。頚の筋肉を鍛えてみてはどうですか」
と、アイソメトリクス運動（静止状態で力を入れる筋力トレーニング）を教えて頂きました。
私が当時受診した先生は運動指導もして下さり、非常に良心的であったと思います。
しかし、問題がない、というのはショックでした。
（大丈夫だ、と言われて安心すべきでしょうが、本人は何か問題があると思っているわけです。同じような経験のある方も多いのではないでしょうか）
※病院で「問題がない」というのは、「医学的には問題がない＝体は壊れていない」ということです。私の例であれば、「頚椎ヘルニアはない」「骨折はない」「神経を圧迫するような所見はない」「腫瘍・出血・感染などはない」といったところです。
一方、「なで肩＝筋肉が弱いから」というのも、急に頚が細くなったわけでもなく、それではなぜ今まで痛くなかったのだろうと、疑問に思いました。
※ホームページにも書きましたが、体が壊れていなくても痛みを感じるのは不思議なことではありません。また頚から肩には、通常に生活しているだけでもある程度の負荷がかかっています（頭部は5～6kgの重さがあります）。当院では、「あなたが痛いと言うからには、間違いなく何らかの問題がある」とはっきりお伝えしています。
その後、根気よくアイソメトリクス運動を続けましたが、痛みは一向に改善しませんでした。
ついには、チェーンの先に重りを付けて頚を鍛える器具（ヘッドハーネスと言われるもの）まで購入し、トレーニングしました。太い頚を目指して。
しかし・・・ダメでした。
※残念ながら努力の方向性が間違っています。強い衝撃に耐えねばらないアスリートなら別ですが、かばうことなく通常に生活していれば、必要な頚部の筋力は保たれます。
当時通っていた大学には医学部もありましたので、医学図書館へ通って肩こりに関する文献を調べるようになりました（医学部に再入学するのはもう少し後の話です）。
しかしなかなか「これだ」という文献に出会えず、そもそも医学的な知識もないわけです。
結局、「一時的なものだろう」と思っていた肩こりは全く改善することなく、その後何年も続くことになるのです。
～「肩こりの物語」その3 に続く～
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