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「腰椎椎間板ヘルニア」その2

腰椎椎間板ヘルニアには2種類あることを、前回お話しました。

それは、「典型的なケース」と「非典型的なケース」です。

 

①典型的なケース

一言で言えば、「教科書通り=ケガとしてのヘルニア」

【患者像】

基本的に若い(10~30代)

【症状】

急に激しい腰痛・下肢痛が出現した

前屈すると激しい下肢痛が出るので、前屈できない

下肢が痛くて歩けない

(尿が出にくい・出なくなった)

≪例≫

【画像所見】

MRIで4番目と5番目の間の椎間板ヘルニア(右寄り)がある

ここに出っ張ると、「教科書通り」「解剖学的」には、右脚の5番目の神経を障害する

【診察所見】

右脚の5番目の神経によって動く筋肉の運動麻痺がある

右脚の5番目の神経が伝える感覚の感覚麻痺がある

医師がわざと痛みを出す検査(脚を持ち上げたり、前屈させるなど)をすると、右脚の5番目の神経の部位に症状の再現性がある

◎つまり画像所見と診察所見が”完全”に一致している

(典型的なケース:ミートソーススパゲティ)

 

 

 

②非典型的なケース

一言で言えば、「教科書通りではない=ケガではないヘルニア」

【患者像】

年齢はさまざま(10~90代)

【症状】

以前から腰痛・下肢痛があり、症状に波がある

動くと痛いが、あまり痛くない日もある

痛くて歩けない日もあれば、歩ける日もある

≪例≫

【画像所見】

MRIで4番目と5番目の間の椎間板ヘルニア(右寄り)がある

ここに出っ張ると、「教科書通り」「解剖学的」には、右脚の5番目の神経を障害する

【診察所見】

右脚の5番目の神経にはっきりした運動麻痺がない

右脚の5番目の神経にはっきりした感覚麻痺がない

医師がわざと痛みを出す検査(脚を持ち上げたり、前屈させるなど)をしても、腰痛は出ても右脚の5番目の神経の部位にはっきりした症状の再現性がない

◎つまり診察所見と画像所見が一致しない

(非典型なケース:名古屋名物あんかけスパ)

 

 

 

繰り返しになりますが、「腰椎椎間板ヘルニア」というMRI画像上の所見はほとんど同じであっても、この2つは全く別の疾患(状態)です。

スパゲティで言うなれば、スパゲティという事実はほとんど同じであっても、この2つは全く別の食べ物であるということです。ちょっと例えが分かりづらいでしょうか…。

 

①は、椎間板により神経が障害されています。椎間板自体の新しい損傷も考えます。

②は、椎間板がただ出っ張っているだけです。加齢に伴うものならば、「白髪」と同じようなものです。

 

奇特にも(笑)、ここまで読んでくださった方は、腰椎椎間板ヘルニアの治療において、何が問題なのか気付かれたかもしれませんね。

 

~「腰椎椎間板ヘルニア」最終回に続く~

 

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