「腰椎椎間板ヘルニア」その1
整形外科医としての勉強はとても楽しく、指導医にも恵まれ、日々の診療も非常にやりがいがありました。
研修医~整形外科医としてスタートした病院は、特に頚の痛みや腰痛、下肢の痛み・しびれなど脊椎(せぼね)の疾患が専門であったため、そのような患者さんが多く集まり、手術も非常に多く行っていました。
少し肩こりから脱線します。
数多くの患者さんを診察する中で、だんだんと分かってきたことがありました。
「痛みの出方は個人差が非常に大きい」こと
「典型的なケースと非典型的なケースがある」こと
です。
「腰椎ヘルニア」を例として挙げます。
皆さんもこの名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。
正確には「腰椎椎間板ヘルニア」と言います。
腰椎は、腰の部分のせぼねのことです。
ヘルニアは「脱出・突出」、つまり「出っ張る」という意味です。
つまり「腰の部分の椎間板(骨と骨をつなぐ軟骨)が出っ張った状態」ということになります。
※例えば「鼠径ヘルニア」という疾患があります。これは「鼠径部(脚の付け根)で(腸が)出っ張った状態(脱腸)」です。
腰椎椎間板の後ろ(背中側)には「脊柱管」という神経の通り道があります。
下図の黄色の部分が神経です。
椎間板が出っ張ることの何が問題かと言うと、この神経を圧迫することで下肢の痛みやしびれ、麻痺の原因になります。また、椎間板が損傷することそのものも、腰痛の原因となります。
これが、教科書的な説明です。
(日本整形外科学会HPより引用させて頂きました)
医学というのは長い時間をかけ進歩してきたものであり、それは先人達の並々ならぬ努力・研究の結果得られた知識の積み重ねです。それが今日の医学の教科書や診療ガイドラインになっているわけです。
日々腰椎椎間板ヘルニアの患者さんの診療に当たっているうちに、「教科書的な典型的なケース」と「非典型的なケース」にはっきりと分かれることに気が付きました。
驚くほど典型的な患者さんもいれば、典型的な診察所見が全く得られない患者さんもいるのです。
「腰椎椎間板ヘルニア」というMRI画像上の所見はほとんど同じであっても、この2つは全く別の疾患(状態)であると自分は考えています。
次回から肩こりの物語を少しお休みし、この「腰椎椎間板ヘルニアには2種類ある」ということについて詳しくお話ししたいと思います。
~「腰椎椎間板ヘルニア」その2へ続く~
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