「肩こりの物語」その7
精神科で研修をする中で、「身体表現性障害」という概念に出会いました。
何だか難しそうな響きですが、
「症状を説明できる器質的な異常所見に乏しく、心理的要因によって身体症状に影響が出ている(と考えられる)種々の障害」
の総称です。
簡単に言うと、「ストレスが体に症状を出している状態」です。
この身体表現性障害という用語は、1980年の精神障害診断マニュアルから使用されています。しかし同じような概念はもっと昔から知られており、
ヒステリー、心気症、自律神経失調症、心因性疼痛
などと呼ばれてきたものの多くを含むと考えられています。
最新の診断マニュアルの分類では、身体症状症と呼ばれています。
このことを学んだ際に、自分としてはまず抵抗感を覚えました。
その理由は2つありました。
①ストレスでこんなにひどい痛みが出るとは考えられず、体が壊れているとしか思えなかったこと。
②そもそも自分にストレスがあるとは思えなかったこと。
しかし、現実にどのような精密検査を行っても異常所見はなく、内服やブロック注射をしても良くならないのです。「残念ながら」、体が壊れていないことを認めざるを得ない状況でした。
体が壊れていれば分かりやすいですよね、そこを治療すればいいわけですから。しかし壊れていないとなると、(普通に考えれば)どこを治療すればよいのか分からなくなってしまいます。
ただ現実には、人間生きていれば必ず体には負担がかかりますから、画像検査に写らないようなガタが来ていてもおかしくありません。体に全く問題がないということはありえませんし、体のケアはもちろん大切です。
ただ、自分のことはさておき客観的に考えてみると、確かにストレスで胃に穴が開いてしまう人はいます。また、ストレスで白髪が一気に増えてしまう人、おなかの調子が悪くなる人、肌が荒れてしまう人もいます。
簡単に言うと、「ストレスによる体調不良」です。
そうすれば、ストレスで肩がこり、痛みすら出てしまうのも、やはり不思議ではないのかな…と思い始めました(①についてはとりあえず納得)。
しかし、自分ではストレスを感じていないのに、肩こりが全く良くならないのは矛盾しているなとの考えは変わらず、当時これの答えは出ませんでした(②については納得できず)。
~「肩こりの物語」その8へ続く~
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